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「時間を知る道具」としてではなく「象徴的な装身具」として腕時計に惹かれ、こだわりをもつ心豊かな人は、デジタルやクォーツではなく、やはり、最終的には奥の深い機械式時計の世界に心奪われるものです。ミクロな部品それぞれが一つ残らず重要な意味を持ち、オーナーがゼンマイを巻くことによって初めて時間を刻むメカニズムは、本当に自らが時の支配者になったかのような神秘的な喜びをオーナーに与えてくれます。
現行の高級スイスブランド時計も美しく、魅力的ではありますが、数十万円もする高価な時計のそのほとんどが、実は大量生産された汎用ムーブメントに自社で多少の仕上げを施し、ケース、文字盤でそれぞれのお化粧を施した、実は中身にあまり「違いのない」ものです。それは産業の発展史においては必然の事でもあり、決して悪いことだとは言えませんが、しかし、一時代前、各社が部品・構造の細部にまでこだわり、ムーブメントの構造美を飽くなき探究心で追求し続け、職人技の結晶として時計の内側に『機械式時計』の小宇宙を作り上げていた時代のものと比べると、やはり、道具としての大きな魅力がどちらにあるかは言うまでもありません。
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